税金滞納からの公売について
税金の滞納、差押から公売の流れ
公売とは
公売とは、国税徴収法に基づき税金を課税する税務署や市区町村などの自治体が税金の滞納を徴収するために納税者の財産に対し差押えを行い、強制的に売却しその換価を租税に充てる入札方式で売却する制度です。
公売と競売の違い
【競売】は民事執行法に定められているもの
競売は住宅ローンの滞納等で債務者が支払いをできなくなった場合に金融機関(銀行・保証会社)や民間企業、個人が裁判所に申立てを行います。
【公売】は国税徴収法に定められているもの
公売は税金(固定資産税・都市計画税・住民税・保険税等)を滞納した場合に、税金を課税する税務署や市区町村などの自治体が行います。
大きな違いは、引き渡し時の占有者(元所有者等)がいた場合の対抗手段です。
競売の場合には、引き渡し命令の申立てによる強制執行の制度がありますが、公売の場合に占有者が明け渡しに応じない場合は、所有権に基づく明け渡し請求訴訟を提起して、それに勝訴をすることで強制執行となります。
その他、競売の入札価格は売却基準価格の2割ですが、公売では見積額の10%以上の額となります。
また、競売では競売3点セットの資料を確認できますが、公売では公売広告となることや落札者の呼名や言葉の違いがあります。
公売の種類
1期日入札
期日入札は、入札書の提出期間が一日の入札方法です。
入札期間に入札書の提出書を受け付け、同日中に開札を行います。
2期間入札
期間入札は、入札書の提出期間が連続した2日以上の期間の入札方法です。
入札期間において入札書の提出を受け付け、開札期日に開札します。
3インターネット公売
インターネット公売は、インターネットの民間オークションサイトにて、競り売りの方法によって行う公売です。
こちらはあらかじめ公売参加の申し込みがあった方から、連続して2日以上の期間において買受申込を受け付けます。
4広告随意契約
広告随意契約とは、直前の公売における見積価額以上の価額で、一定期間内に差押財産を随意契約による売却する旨を公告し、最初に買受申込をした阿多に売却する方法です。
公売の流れ
税金の滞納から差押えまで
1催促状
納税期限に納税できず、滞納から20日を過ぎても納税できていない場合に催促状が届きます。
催促状の発送から10日経っても納税していない場合は差押えの可能性があります。滞納の常習性があると判断された場合には、滞納~1カ月で差押えがされることもあります。
2財産調査・捜索
滞納が発生すると、その滞納者を徹底的に調査し、差押えすべき財産を決めていきます。
身辺調査事項は、住民票の取得、勤務先の調査、所得の調査、戸籍の調査、家族構成等です。
財産調査事項は、不動産の登記簿謄本の取得、自動車の有無、銀行口座、携帯電話の料金、公共料金の支払い、生命保険の加入の有無、不動産の賃借をしている場合には敷金や入居保証金の有無、給料、その他の報酬などです。
また、財産調査や身辺調査をしても財産を発見できない場合には、滞納者の自宅や事業所を捜索されます。
3差押
職権で不動産の場合には差押え登記を入れられます。
4公売
不動産の場合で、住宅ローンの残債が多い場合には強硬な手段はとられませんが、住宅ローン等の債務がない場合、また少ない場合、優先税がある場合には公売になります。
また、この場合には公売予告通知書が滞納者のもとへ届きます。
公売から売却まで
5公売広告
公売広告は公売期日の10日前までに公売を実施する国税局や税務署の掲示板などに公売の条件や内容を掲示されます。
(公売期日の1カ月前に広告されるケースが多いです)
6見積価額広告
見積価額広告は原則、公売期日尾3日前までに広告します。
(公売広告と同時のケースが多いです)
7入札
入札者は入札価額をはじめ、氏名等の必要な事項を記載した上で、入札書を提出します。
8開札
開札は、公売広告に記載された期日、場所において入札者の面前で行われます。
入札者、またはその代理人が開札場所に不在の際は、公売事務を担当していない職員が立ち会い開札されます。
9最高価申込者の決定
開札日において、入札価額が見積価額以上で最高価の入札者の氏名等が広告されます。
また、開札の結果、最高価額での入札者が2名以上の場合には、追加入札を行います。
追加入札も同額の場合にはくじにて最高価入札者が決定されます。
10売却決定
公売広告に記載された日時に開校か申込者に対し行われます。
11買受代金の納付
買受人は、売却決定を受けたのちに、公売広告に記載された納付期限までに買受代金の全額を納付します。
買受代金の納付をもって、買受人は公売権利を取得します。
12公売財産の引渡し。権利移転手続
公売財産が不動産の場合、買受人によって権利移転の登記又は登録の請求がされます。
公売を回避する方法
公売予告通知が届くまで放置しない
公売を回避するには、公売予告通知書が届くまで滞納中の税金を放置しないことが重要です。
滞納初期の段階で税務署等に相談をし、払えない状況の説明、また分割で納付したいなど支払いの意思を示すことが大切です。
国税および地方税の徴収についてを定めた法律では、催促から10日経過をすると滞納者の財産の差押えが可能です。
しかし、実際に催促は複数回行われることが多いので、その間に納税相談に行き、支払いの猶予や分割の対応をしてもらえるように交渉しましょう。
公売予告通知はもちろん、各種催促を無視してしまうと【支払いの意思がない】と判断されてしまい、自治体の姿勢も強硬になってしまいます。
滞納している税金を一括で納付する
すでに長期間の滞納であったり、公売通知が届いている場合、悪質ととられてしまっている場合などは分割の納付を認めてもらえないことがあります。
この場合には滞納分を一括で納付しなければなりません。
不動産の場合、任意売却を検討する
税金の滞納で差押えが入っている不動産は、通常の売却は基本的にできません。
※引き渡し時までに滞納分の税金の一括納付を行い。差押えを解除してもらえれば可能です。
任意売却であれば債権者の同意のもと差し押さえられている不動産を売却することが可能であり、公売での売却より高く売れることも多く、また滞納分の税金の納付後の残額についてはご自身のものとなります。
しかし、自治体や担当者によって任意売却を認めてもらえないケースもあります。
任意売却の依頼は任意売却を専門に扱っている不動産会社へ依頼し、粘り強く交渉することが必要です。
住宅ローンの残っている不動産を役所が差し押さえた場合の任意売却
税金の滞納とあわせ、住宅ローンも滞納をしてしまっている場合にも、不動産を差し押さえられてしまうことがあります。
実際に家の価格が住宅ローンの残債より低い場合やほとんど差がない場合には、役所が差押えを行っても滞納分の回収は難しいため、ほとんど意味はありません。
しかし、このような場合でも国や自治体が第二順位の債権者として差押えを行うことがあります。
債権者が複数存在する場合には、売却代金の一部からハンコ代(差押え解除の手数料)を払うことを条件に、任意売却の交渉を行います。
このような本来意味のない差押えは【無益な差押】と呼ばれ、国税徴収法では禁止されている行為です。しかし、実際の現場ではしばしば見られ、事態を深刻化させる問題になっています。
このような場合の交渉は難航が予想されますので、任意売却を専門に行っている不動産会社への相談をおすすめします。
税金の滞納で差押えをされてしまったら
税金には、住民税や所得税、消費税、固定資産税、国民健康保険料、法人税、消費税など多く存在しています。
税金の支払いは国民の義務となっており、滞納をしてしまっても支払いを免れることはありません。
自己破産をしても税金の支払い義務は残りますし、延滞税も増えていきます。
税金の滞納の一番の解決策は早めの相談ですが、様々な理由から税金を滞納してしまい不動産を差し押さえられてしまうこともあるかと思います。
私たち任意売却専門住宅ローン相談センター「にんばいせんもん」では、税金の滞納から不動産の差押えをされてしまった場合でも無料で相談をおこなっています。