住宅ローンと連帯保証人
ペアローン・連帯債務・連帯保証、それぞれの違い
住宅ローンの審査時に、様々な理由により「ペアローン」「連帯債務」「連帯保証」といった制度を利用して住宅ローンを借り入れするケースがあります。
それぞれメリット・デメリットはありますが、購入時には売却時のデメリットまで考えているケースは少ないです。
ここでは、それぞれの違いから【任意売却】時に必要な事柄をお伝えしていきます。
契約時のそれぞれの違い
1ペアローン
ペアローンは夫婦や親子でそれぞれが住宅ローンの審査を受けて借り入れる方法です。
メリットは、それぞれの借入可能額を合わせて借りられることで、借入金額を大きくできることです。
住宅ローンの契約は2本となり、それぞれ別の契約となります。
デメリットは、2本の契約となることから、手間も諸費用も2倍となることです。
また、それぞれに団体信用生命保険がかかる点で、どちらか一方が亡くなってしまった場合にも、ご自身の住宅ローンの債務については残る点です。
※連帯債務や連帯保証は住宅ローンが1本なので、団体信用生命保険は原則名義人のみになります。
所有権については、それぞれで持つことができます。
2連帯債務
連帯債務は、ペアローンと違い1本の住宅ローンに対し、それぞれの収入を合算し借入をし、共同で返済することをいいます。
連帯債務では、団体信用生命保険も名義人のみとなりますが、諸費用はペアローンに比べ少なくできます。
所有権については、それぞれで持つことができます。
3連帯保証
連帯保証では、住宅ローンの名義人に対し、もう一人が保証人となるものです。
保証人に収入があれば、それぞれを合算し借入額を増やすことも可能です。
こちらも住宅ローンは1本となるので、団体信用生命保険は名義人のみ、また連帯保証人は住宅ローン控除は受けられません。
所有権についても連帯保証人は持つことができません。
離婚の際に問題になるペアローン・連帯債務・連帯保証
結婚生活のなか、住宅の購入をされていても、離婚時にはその扱いに困ってしまうケースも少なくありません。
まず第一に、婚姻中に形成した財産は原則として2分の1ずつ財産分与をする必要があります。
例えば離婚後に、住宅ローンの契約者がそのまま住み続けるのであれば、住宅ローンの返済が可能であれば問題は生じないですが、別れた相手には別の財産分与の必要があります。
また、住宅ローンの契約者でない方が住み続ける場合には、住宅ローンの新規借り換えや名義変更、また住宅ローンの負担者についても協議しなければいけません。
夫婦で共働きの方も増え、住宅の購入をするにあたってより良い物件を購入するためにペアローンや連帯債務により収入合算を選択された方も多くいらっしゃると思います。
その場合には、より問題は複雑になってきます。
ペアローンや連帯債務のように夫婦二人で債務を負う場合には、お二人の話し合いのみで不動産の登記名義から離脱できず、債権者(金融機関)との交渉が必要になるからです。
1ペアローンの場合
住宅ローンがペアローンでお二人の共有名義だった場合には、お互いの合意があれば売却が可能です。
また、ローンの残債が売却価格よりも少ないアンダーローンであれば問題も少なくすみます。
しかし、ローンの残債が売却価格を上回るオーバーローンの場合には、不足部分を自己資金で用意する必要があり、ご用意できない場合には抵当権の抹消が出来ず売却はできません。
また、どちらかがそのまま住み続ける場合にはもちろん住宅ローンの返済が続きますが、それはお二人ともに返済義務が生じます。
また、ペアローンの場合にはそれぞれが連帯保証になっているケースも多く、どちらかが返済を滞ってしまった場合には、返済義務を負うことになるリスクもあります。
2連帯債務の場合
こちらもペアローン同様に、共有名義になっていた場合にはお互いの合意で売却が可能です。
アンダーローン、オーバーローンの際の対応も基本的には同じです。
ただし連帯債務の場合、返済義務はお二人が同等に追っているため、もし片方がローンの返済に協力的ではない場合に、もう片方にお二人分の返済を求めることも可能です。
※連帯保証とは異なり、「まずは返済するように催促をしてほしい」と主張することはできません。
3連帯保証の場合
連帯保証で自宅の名義が単独の名義だった場合には、基本的には名義人の判断で売却することが可能です。
またアンダーローンの場合にはローンの完済をすることで連帯保証人はなくなりますが、オーバーローンによる売却の際には、残債について連帯保証人による保証も残るので注意が必要です。
離婚による住宅ローンの問題の解決方法
1住宅ローンの借り換え
現在、ペアローンや連帯債務で住宅ローンを組まれていても、住み続ける方が単独で住宅ローンを借り換えることでトラブルを回避する方法があります。
この場合には、住宅ローンの契約者が新たに住宅ローンの審査を受ける必要があり、収入やご状況によっては審査が通らないことも考えられます。
2任意売却による売却
ペアローンや連帯債務で住宅ローンを組まれていても、お互いの合意があれば売却は可能ですが、オーバーローンの場合には通常での売却はできません。
しかし、任意売却であれば金融機関の合意のもと、自宅の売却が可能となり、大きなトラブルになる前に問題を解決できます。